あの子と私
万引きすればいい。


悪い事をするスリルと快感が、万引きをする時の感情とシンクロする……。

心臓がバクバクする……。


ダメ。


もし捕まったら、何で欲しかったのか聞かれるに決まってる。

『眠れない』信じて貰えなかったら…?


何かしようとする時、した時は、何故だか知らない人にも気持ちを見透かされてしまいそうで、不安になるんだ。


私は万引きしたい衝動を必死に抑えて、レジへと並ぶ。


そして睡眠促進剤を購入し、店の外に出ると大きく息を吐き出した。

まだ、これからやらないといけない事がある。


店を出ると又、急いで家へと向かう。

早く帰って準備をして、作戦は完壁に立てておかないといけない。


チャンスは一度しかないんだ。

そして家に帰ると、自分の部屋に入り、買って来た睡眠促進剤を取り出す。


どれくらい使えば効くんだろう……?


説明書には1回2錠って書いてある。

少なすぎても効かなそうだし、多過ぎると死んでしまうかもしれない。

私はとりあえず6錠を取り出して、ノートを少し小さめに切ると、その上に置きボールペンの裏でそれを砕く。

何度も何度も砕いていくと、こぼれないようにそのまま包んだ。

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