あの子と私

惨めな恋

部屋に戻ってベッドの上で横になっても、眠れなかった。

あの手紙の内容と、あの写真が頭の中から離れないんだ。

見なかった事にしよう


あれを見た事を知っているのは私だけだから、私が何も言わなければ、見ていない事になる。


もし私が知ってしまった事を知られたら……今迄以上に何かが変わってしまう気がした。


私が知らないから真雪ちゃんが来るだけで終わている事も、私が知ってしまった事で、私とお母さんがこの家から追い出されてしまう事もあるかもしれない。


だから私は見ていない。


何も…見ていないんだ。


胸がモヤモヤして勉強も手につかないでいると、部屋をノックする音が聞こえた。



「はい」

「真雪だけど入っていい?」

「…うん」


真雪は部屋に入ると、窓際の壁にもたれて言う。


「昨日はごめんね。凄く眠くなっちゃって、片付けもしないで寝ちゃった」


真雪のその言葉に胸がドキンとする。

昨日の事…真雪ちゃんに気付かれてないよね?


「ううん。私も何もしてないから」


私はそう言いながら真雪の表情を伺う。


「昨日はお風呂も入らずに寝ちゃった。最近ちょっとダラダラし過ぎてるのかな?」

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