あの子と私
いつもと変わらない様子の真雪にホッとすると、真雪に聞いた。


「初詣とかどうするの?」


ヨシと一緒に行ったりしない…?

真雪のあの時の言葉が耳に焼き付いて離れない。


『自分の事を好きじゃないのに一緒に居るのと…お互い好きなのに離れてるのって……どっちがしあわせなのかな…?』


まるでヨシと真雪が両想いのような、あの時の言葉。


「特に予定は無いかな。私、携帯持ってないし、誰とも連絡を取ってないから」

「……」


本当に?


「アリスちゃんんは?家族で行ったりするの?」


家族で初詣なんて、子供の頃に行った事があるけど……。


「子供の頃だけだったら」


私がそう言うと、真雪は羨ましそうに私に言った。


「いいな、アリスちゃん。私は家族で初詣とか凄く憧れてたんだ。そうだ!アリスちゃんのお父さんと三人で初詣に行かない?」

「え?」


三人で初詣……?

あの手紙が頭に浮かぶ。

だって…真雪ちゃんとお父さんは……。

ヨシだけじゃなく、お父さん迄取られるんじゃないかって


真雪と父親の関係を思えば思う程不安になって、不安はどんどん大きくなっていく。

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