あの子と私
真雪と三人で行ったら、父親がどんな態度を取るかなんて、あの手紙を見る前から分かってる。

お母さんだって居ないのに……。


今、この家にお母さんが居ないのも、元はといえば真雪ちゃんがこの家に来たからじゃない!

不安が怒りへと変化していく。


真雪ちゃんさえ来なければ、きっと今頃家族三人一緒に居たのに。

真雪ちゃんさえ居なければ、ヨシだって私の事を好きになったかもしれないのに……!!


誰のせいで……!!


真雪は私の顔色を見て、焦るように言った。


「あ、アリスちゃん勉強が忙しいんだよね。ごめんね?変な事言って」


勉強……?


「……」

「アリスちゃん?」


私の顔を覗き込もうとする真雪の視線から目を反らして、思わず私は言った。


「…出て行ってよ」

「……え?」

「この家から出て行ってよ!」


大きな声で私がそう言うと、真雪は寂しそうな声でポツリと言った。


「分かった」


出て行けばいい。

真雪ちゃんがこの家から出て行けば、全てが丸く収まるんだ。


お母さんやお父さんの事も


ヨシとの事も


真雪は寂しそうな空気を漂わせ、静かに部屋を出て行く。


私は悪くない。


生活が元に戻るだけだ。

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