あの子と私
「真雪ちゃんが…真雪ちゃんが居なくなったんです…。私が…私が出て行けって言ったから…」

「真雪ちゃん…?」

「私…全然何処に居るか分からなくて…」


必死に正美に伝えると、涙が出そうになった。

正美はそんな私の肩をポンポンと叩くと、私に言う。


「大丈夫だ、アリス。一緒に探そう」


正美のその言葉に涙が溢れた。


「ほら、泣いてる暇は無いだろ?行くぞ?」


正美が切符を買い一枚私に渡すと、私の腕を引っ張って改札を潜る。


「アタシだったら繁華街だな」

「繁華街……?」


…公園じゃなくて?


「あぁ。泊まろうと思ったら漫喫に行けば安いだろ?デパートで時間も潰せる。繁華街じゃないと夜は危ないし、寒さを凌ぐ所なんてないからな」


「……」

「大丈夫だって!絶対に見付かるし、見付かる迄一緒に居てやるから」

「ありがとう…ございます」


電車の中でも、繁華街に着いてからも、私と正美は無口になって真雪の姿を探した。

歩き回って身体は暖かいけど、手と耳が冷えて痛い。

真雪ちゃんは寒くない、暖かい所に居る?

何処か凍え死んだりしてないよね……?

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