あの子と私
あの時の真雪の後ろ姿が又蘇る。


「大丈夫。絶対に見付けてやるから」


正美はそう言って私の腕を握る手に力を入れる。


「……」


本当にこの辺りに居る?

デパートの中や、ホームセンターの中や、寒さを凌げるような場所を探しても、真雪の姿は見当たらなくて、不安がどんどん大きくなる。

こんなに広くて、沢山人が居るのに見付けるなんて、不可能なんじゃないかって……。


真雪ちゃんが見付かる確率はどれくらいなんだろうか……。

そう思った時、正美が足を止めた。


「正美さん…?」

「居た……。アレじゃね?」

そう言う正美の視線の先を追うと、そこはお洒落な喫茶店で、正美の言う通り、窓際の席に真雪の姿がある。

良かった……。

身体中の力が抜け、私はホッと息を吐き出した。

吐く息が白くなってる……。


気付かなかった。

真雪ちゃんに言わなきゃ。


『さっきはごめんね。一緒に帰ろ』って……。


そう思った時、真雪の幸せそうな笑顔が目に入った。


笑ってる?

誰とも連絡取れないって言ってたのに、誰と一緒に居るんだろう?

私は真雪と相席をしてる人を見る。




嘘だ……。

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