あの子と私
「アリス……?」


私は黙ったまま、窓際に座る二人の姿を見つめた。



楽しそうに笑う真雪と……ヨシの姿を……。


何で……ヨシと一緒に居るの?



真雪ちゃん、ヨシとは付き合わないって言ってたし、私の気持ちだって分かってるのに。


何で?
何で女友達でもなく、トモでもなく


ヨシなの……?


さっきまで心配していたのが嘘のように、沸々と怒りが沸いてくる。

あんなに心配して走り回ってたのに、ヨシと二人で楽しく笑ってたなんて……。

私は二人に視線を向けたまま正美に言った。


「正美さん…あの真雪ちゃんと一緒に居る男の子……私の好きな男の子なの。…真雪ちゃんも知ってるのに……」


凄く悔しくて、怒りで声が震える。

正美はいつもとは違う張りのない声で、私に聞いた。


「……どうするんだ?」


私は二人から視線を逸らし、正美にぎこちなく笑って言う。


「…正美さん…そこで見てて……」


正美は私のその言葉に大きく頷くと、力強い目で言った。


「ああ…。頑張れよ!」

「…うん」


私は大きく息を吐き出し、喫茶店の中へと向かう。


足が少し震えている。


でも関係ない。

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