あの子と私
「……うん」

「…じゃあ帰るか?」


私は頷いて正美と一緒に駅へと行き、少し無口なまま正美も家へと向かう。

そして正美の家に着くと家は真っ暗で、黙って入り電気を付ける正美に言った。


「お母さんは仕事…?」


私が聞くと、正美は冷蔵庫から牛乳を取り出し、古そうな鍋に牛乳を注ぎながら言う。


「…ああ。余り家にはいねぇからな」


コンロの火を付けると鍋を掛け、何処かに行くと直ぐに戻って来てコンロの火を消し、マグカップに砂糖と牛乳を入れて言った。


「ここは寒いから、あっちの部屋に行こう」


私は黙って頷き、正美の後ろを着いて、隣の部屋へと行く。

正美が電気を付けると、小さなコタツがあって、そこにマグカップを置くと正美は言う。


「そこに座って、それを飲めよ。あ、コタツは壊れてて付かないんだ。そこの電気ストーブを付けな」


私は頷いてスイッチを入れると、マグカップに口を付ける。


「美味しい……」

「だろ?落ち着くんだよな。それ飲むと」


正美はそう言って優しく笑うと続けて言う。


「うちは何もねぇけど、それだけはお代わりがあるからな。遠慮するなよ?」

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