あの子と私
正美は部屋を出て少しして戻って来ると、タオルと真っ赤なジャージと下着を渡して着て言う。


「風呂、沸いたから入れよ。それ着替え。パンツはさぁ、それしか新しいの無くてさ」


真っ黒の透け透けレース……。


「無理だったら、わりぃけど、今履いてるヤツ履きな」


私は少し笑って頷くと、正美に聞く。


「正美さん…お風呂は?」

「アタシはアリスが入った後入るよ。早く入って温まって来いよ?アタシは布団の準備してるから」

「…うん」


私は空っぽになったマグカップをキッチンに置き、お風呂に入る。

初めて入る正美の家のお風呂は、浴槽がうちの浴槽の半分くらいで、銀色でピカピカしていて

タイルは黒の石で、ゴムパッキンが少し薄汚れている。

いつもより奇麗じゃなくて狭いけど、何か落ち着くように思えた。

身体と髪の毛を先に洗うと湯船に浸かる。

冷えきっていた身体が、ゆっくりと温まっていく。

髪の毛から滴が落ちるのを見て、喫茶店での真雪の顔を、水を被った真雪の顔を思い出す。

今頃真雪ちゃんはヨシの家……?

あのベッドの中でヨシと一緒に眠るの……?



唇をギュッと噛み締める。

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