あの子と私
もし…真雪ちゃんがヨシの家に泊まっていたら……絶対に許さない……。


お風呂から出て、正美に貸して貰った服に着替えると、さっき居た部屋の電気は消えていて、私は正美の部屋へと向かう。

そしてドアをノックした。


「入りな」

「うん」


部屋を開けると、そこは窮屈そうに布団が2枚敷かれていて、正美は眠そうな顔をして座っている。


「正美さん…ありがとう」

「あ?ああ。それよりさ、やっぱり家に電話しとけよ?ほら」


正美は携帯を私に投げ、私はそれを受け取る。


「でも……」

「アタシを誘拐犯にする気かよ?」

「そうじゃなくて…形態の使い方が分からない」

「……」


正美は私のその言葉に少しビックリした顔をすると、黙り込み優しく笑いながら言った。


「アリス、携帯持ってないのか。ほら、番号を押した後に受話器が上がってるボタンを押せばいいんだ。じゃあ、アタシも風呂に入って来るから、眠かったら先に寝てろよ」


私は頷き、部屋を出ようとする正美に言う。


「正美さん!」

「…ん?」

「……ありがとう」

「あ、ああ」


正美はぶっきらぼうにそう言うと、部屋を出て行く。

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