あの子と私
そして私は家に電話をした。

父親は心配してるだろうか?

真雪は家に帰ってるだろうか……?


電話を掛け、コールが3回鳴った所で父親が電話に出た。


「はい、もしもし」

「……お父さん?」

「ああ、アリスか?今何処に居るんだ?!真雪は一緒なのか?」


父親のその言葉に胸がズキンとなる。

やっぱり……真雪ちゃんはまだヨシと一緒に居るのね……。

許せない……


「アリス?」


私は空を見ながら父親の言葉に返事を返す。


「真雪ちゃんは今一緒じゃない」

「どういう事だ?!」

「本当はね……真雪ちゃんが出て行くって言い出して…私、真雪ちゃんの事探してたんだ。少し前に見付けたけどクラスの男の子と一緒に居て」


私は溜息を吐いて少し黙る。


「それで?どうなったんだ?!」

「真雪ちゃん…声を掛けたら逃げたんだ。私追い掛けたんだけど見失って……。私、もう少し探してみる。居なかったら今日は友達の家に泊まるね」

「お父さんも一緒に探っ」


私は父親の言葉に気付かない振りをして、携帯を切った。

お父さんと一緒に探す訳にはいかない。

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