あの子と私
正美と別れると急いで家へと向かう。

昨夜考えたあの作戦を何度も何度も頭の中で描きながら。

そして家に着くと大きく深呼吸し、家のドアを開けた。


真雪の靴は無い…。


やっぱり帰って来なかったんだ


「ただいま」


私は怒りを必死に抑え、ションボリした声を出すと、父親が急ぎ足でリビングから出て来て言った。


「アリスだけか…?」

「……ごめんなさい。あの後見付けられなかった…。真雪ちゃん…帰って来てない?」


私はそう聞くと父親は心配そうな顔をして言った。


「まだなんだ…」


ヨシの家に泊まったんだ……。


「……」

「…何処か心当たりはないのか?」

「……」


私が下を向いて黙り込むと、父親は大きな溜息を吐いて言った。


「アリス……。昨日真雪と一緒に居たって言ってた男の子の、名前と電話番号は分かるか?」

「広瀬…由輝」

「電話番号は?」


私は軽く頷くと、部屋に戻ってクラス名簿を手に取り、父親に渡す。

父親は名簿を見ると、電話を掛け始めた。

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