あの子と私

重苦しい空気はずっと続き、ヨシの家に着くと父親はヨシの家の横に車を置き、玄関へと向かう。

私も急いで父親の後を着いて行き、父親の後ろに立つ。


そして父親がインターホンを押すと、ヨシの母親の声が聞こえて来た。


「はい」

「川野です。真雪を迎えに来ました」

「あ…はい。どうぞ」


玄関のドアが開くと父親は勢いよく家に入り、大きな声で言う。


「真雪！早く来なさい。帰るぞ」


するとヨシの母親は少し慌てる様に、父親に小さな声で言った。


「まだ寝てるみたいなんで、リビングで少しお待ち頂けます？」


ヨシの母親のその言葉を聞いて、父親は更に声のボリュウームを上げて言った。


「寝てる…？！だったら起こせばいいじゃないか！真雪はまだ高校生で女の子なんだ！大体昨日ここに来た時点でうちに連絡を入れるのが筋だろ？！」


ヨシの母親は少しムッとした顔をして、小さく答える。


「…すみません」

「全く…！母親が母親だから息子が平気で女の子を家に連れ込むようになるんだな！父親は何をしているんだ？！」

「ちょっと…さっきから黙って聞いてたら、失礼じゃありません？！」

「何が失礼なんだ！！」