あの子と私
すると真雪は申し訳なさそうな顔をして、父親に答える。


「ごめんなさい。心配掛けて…私……」

「話は後で聞く。とにかくこんな所に居ないで、さっさと帰るぞ!!」

「こ…こんな所?!朝早くから迷惑も考えないで…!さっさとお帰り下さい!!」


温厚そうなヨシの母親が怒鳴り、真雪はションボリとした顔をして父親の所に行くと、父親は真雪の腕を掴んで、何も言わずに玄関を出る。

いつ言おうかと思ってたけど、こんなにタイミング良くその時が来るなんて。

そう思った時、ヨシの母親が言った。


「貴女も…帰ったら?」


私は視線を下に向けた後、ゆっくりと顔を上げると、ヨシの母親の目を見て口を開く。


「朝早くから、父がすみませんでした……」


ここからはヨシもちゃんと聞いてね。


「真雪ちゃん…今うちで一緒に住んでるんです……。でも、時々夜に家を抜け出して、外泊とかしてて…」


嘘を付くと、心臓の音が大きくなる。

万引きをした時みたいに……。


「えっ?」

「初めてじゃないんです」

「……」

「だから父がカリカリしてて…。すみません。ご迷惑をお掛けして」

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