あの子と私
それより何でお父さんはヨシの事ばかり悪く言って、真雪ちゃんには何も言わないんだろう……。


私には厳しいのに、真雪ちゃんにはいつも優しい。


私より真雪ちゃんの方が可愛いから?

私の事が嫌いだから、厳しくする?


ずっと考えないようにしていた疑問が、頭の中を占領する。


「さぁ、着いたぞ。今日は二人ともゆっくり休みなさい」

「はい」


車を降りて家の中に入ると部屋に向かう。

真雪とは話さずに。

そして部屋に入ると部屋着に着替え、頭の中を占領するあの疑問を、必死に掻き消す。


そんなはずは無い。
真雪ちゃんはお母さんが居なくて可哀想な子だからだって……。

短い冬休みは、私は部屋に籠って勉強をし、真雪とは殆ど顔を合わせない日が続き、冬休み最後の日に母親は帰って来た。


「ただいま、アリス」


私は母親を玄関迄出迎える。

久し振りに見る母親の顔は、出掛ける前とは比べられないくらい生き生きとしている。


「お帰りなさい」

「お土産を買って来たのよ。一緒に食べましょ?」

「うん」


少し後ろで出迎える真雪を無視して、母親はリビングに向かい、私は母親の後を追う。

そしてリビングのテーブルの上にお菓子を広げると、母親は言った。

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