あの子と私
「何か変わった事はあった?」


そう言われた瞬間、父親の部屋のあの手紙と写真が頭の中に浮かんだけど、私はそれを必死に掻き消す。

あの事には触れてはいけない。


「何も無かったよ」

「そう。私はね、実家に居る間、ここに勝てった時、元道りになってたらって思ったけど…」


母親はそう言ってドアの方をチラリと見て続ける。


「そんな事ある訳ないから、出て行くまでは居ない者として考える事にするわ。私にはアリスが居る。だから大丈夫よ。ね?」

「…うん」

「じゃあ、ご飯の支度でもするわ」


母親は真雪と顔を合わせても、田舎に帰る前よりスッキリした顔をしていて、私は少しだけホッとする。

又いつ元に戻るか分からないし、真雪に対する態度は変わらないけど。


冬休みは終わり、又明日から学校が始まる。

あの日、あんな事があったけど、ヨシはどう思ってるんだろう?

明日から真雪とヨシが顔を合わせるかと思うと、気持ちが沈む。

どうにかしてヨシの気持ちを私に向けなくてはいけない。

どうすればいいんだろう……?


学校では勉強しか教えてくれない。


恋愛は今まで解いた事のない難問だ。

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