あの子と私
少しすると、何も知らない真雪が子供の様な笑顔でやって来て言った。


「ヨシは遅刻?」

「いや、ヨシは…」


トモがそう言い掛けるのを私は遮って言う。


「ヨシは体調が悪いんだって。もしかしたら何日か休むかもしれないみたい」

「そうなんだ?」

「うん。ね?トモ」

「……ああ」

「風邪かな?心配だね」


ヨシが真雪ちゃんの事で落ち込んで、学校に来ないなんて死んでも言いたくないんだ。

そんな事知ったら、私なら好きじゃなくても好きになるかもしれない。


ヨシは次の日も休み、その次の日になってやっと、学校に来た。


「おはよ。今日もヨシは休み?」


教室にはヨシの姿が見えなくて、席に座って眠そうにしているトモに聞く。


「いや、来てる」

「何処?」

「多分、非常階段」

「うん。分かった」


真雪がこっちに来てるのに気付いたけど、気付かない振りをして非常階段に向かった。

ヨシと会うのはあの日以来で、少しドキドキする。


非常階段のドアの前に立つと、少し息をととのえてドアを開ける。

すると、座り込んでボンヤリしているヨシの姿があった。

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