あの子と私
全部の授業が終わると、急いでヨシの席に行く。


「ヨシ、帰ろ?」

「あ、うん」


私はヨシが真雪の方を見ていた事に気付き、ヨシの腕を軽く掴んでもう一度笑顔で言う。


「帰ろ?」

「うん」


ヨシはハッとした顔をして席を立ち、教室を二人で出ようとした時、私は真雪に視線を向けた。


…笑ってる?


私は又視線をヨシに向け、ヨシと一緒に歩く。

他のクラスの子達もこっちを見てるのが分かったけど、私はさっきの真雪の笑顔が気になって仕方がない。

ヨシも4人で居る時よりずっと無口で、私を又不安にさせた。

そう言えば、ヨシとトモはいつも一緒なのに良かったのかな?


「トモは大丈夫?」

「大丈夫だよ。アリスを優先しろって言われてるから。トモってさ、いつもアリスの一番の味方だよね」

「…クラスで一番最初に仲良くしてくれたの、トモだったから」

「あー、初めてアリスと外で会ったの、あの公園だったよね。懐かしいな」


ヨシはそう言って遠い目をして笑い、私は又その顔を見て寂しくなる。

ヨシと付き合ってまだ一日だけど、ヨシは嬉しそうな顔を一度も見せてくれてない。


「……」


どうすればいいんだろう?

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