あの子と私
会話はポツリポツリとしか続かなくて、時々触れる手が悲しくなった。

そしてヨシの家に着くと誰も居なくて、二人でヨシの部屋に向かうと、絨毯の上に少し離れて座る。


「音楽でも聞く?」

「あ、うん」


ヨシは手を伸ばし、テーブルの上のリモコンを取ると、音楽を掛ける。


「アリスはこの曲知ってる?」

「…知らない」

「そっか。俺、気分が落ちてる時に、この曲をよく聞くんだ」

「……」


気分が落ちてる時…?

又泣きそうになった。


「あ、変な意味じゃないよ。そんな顔しないでよ」


ヨシはそう言って私にくっつくと、優しくキスをして来た。

何か違う。

こんなんじゃなくて

こんな風じゃなくて

もっと幸せで暖かい感じだと思っていた。


ヨシから伝わるのは


”好き”


じゃなくて


”ごめんね”


しか感じないんだ。

でも私はこれを選んだんだ……。


ヨシが唇を離した時、私は精一杯の笑顔を作ってヨシに言う。


「ヨシ、私、凄く幸せ」

「…うん」


だって、そう言われたらヨシは私の事を裏切れない。

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