あの子と私
「あら、大変!すぐに布巾を持って来るから、ヨシ、先にタオルで拭いておいて」

「うん」


ヨシの母親は急いで部屋を出ると、布巾を持って来て机の上を拭く。


「制服、汚れなかった?」

「…はい。すみません……」

「大丈夫よ。新しいの、すぐに持って来るから」


ヨシの母親はそう笑顔で言ってくれたけど、私は泣きそうになった。

この前の事もあるのに……。

又ヨシのお母さんに気に入られない所か、嫌われたかもしれない。

真雪ちゃんはきっと、こんな失敗はしないだろう……。


「気にしなくていいよ」

「でも……」

「大丈夫だよ」


ヨシはそう言ってくれたけど、私の不安は消えない。

そして少しするとヨシが言った。


「そろそろ帰る?アリス、勉強しないと俺と付き合って成績落ちたらダメだよ」


まだ帰りたくない。


「まだ、大丈夫」

「ダメ!俺、アリス得意な物奪いたくないし、彼女が頭いいの自慢なんだからさ」


彼女…?

慣れない言葉に少し恥ずかしくなりながら、私は答える。


「帰って…勉強頑張る」

「うん」

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