あの子と私
私は立ち上がり、ヨシと一緒に玄関へと向かう。


私は本当にヨシの中で真雪ちゃん以上の存在になれるの?

私が真雪ちゃんより勝ってるのは、頭がいい事と自分の家がある事だけなのに。

玄関に着くとヨシは優しい顔で言う。


「明日又学校でね」

「うん」


私は笑顔で頷く。

そして玄関を出るとモヤモヤした。


初めてヨシの家に行った時は、ヨシの母親は見送ってくれたのに、今日は見送ってくれなかった。

真雪ちゃんの事があったから…?

偶然だよね……?

”付き合う”ってもっと楽しくて幸せだと思ってた。

電車に揺られながら、カップルたちを見てると、凄く楽しそうで幸せそうなのに。

私はヨシと両想いじゃないから?


いつも真雪ちゃんの影が付きまとって不安になる。

家に帰ると真雪ちゃんと顔を合わせないといけないなんて……。



家に帰ると、真雪と顔を合わせないように急いで部屋に入る。

そして机の上に教科書とノートを出すと、ヨシの言葉を思い出して必死に勉強を始めた。

勉強が手に付かない……。


どうすれば、ヨシは私を好きになってくれるんだろう…?

そればかりが頭の中を占領する。

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