あの子と私
勉強がはかどらないまま、気付いたら夕飯の時間になっていて、私は気が重いまま食卓に向かう。

真雪ちゃんと顔を合わせるのは気分が重いけど、私にはお母さんがいる。


そう思い食卓に着くと、いつも私が呼びに行くはずの真雪の姿があった。

お母さんに呼ばれる前に真雪ちゃんが来たの?

私は少し不思議に思いながら、手を洗い席に座る。


「今日はお父さん、遅くなるみたいだから、先に頂きましょ?」

「うん」


そう言って箸を取ろうとした瞬間、真雪が言った。


「ねぇ、アリスちゃん。アリスちゃんのお母さんって本当に料理が上手ね!」


”余計な事は言わなくていいから、黙ってさっさと食べてちょうだい!!”


母親の言葉が頭の中に浮かぶ。


「……」


……?

何も言わない?

いつもと何か違う雰囲気を感じながら、私はご飯を食べ、真雪が部屋に戻った後、母親に聞く。


「今日は真雪ちゃん、お母さんが呼びに行ったの?」

「…そんな事ある訳ないじゃない。あの子が勝手に来たのよ」


母親はそう言って視線を下に向けたまま、後片付けを始める。


「私…部屋に戻るね」

「…ええ」


お母さん…?

私は部屋に戻るとベッドの上に横になった。

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