あの子と私
「じゃあ、私も…」


”私も帰る”


そう言い掛けた時ヨシは優しく、悲しそうな顔をして言う。


「アリスは居なよ。勉強に支障が出たらいけないから」

「でも……」

「大丈夫だよ。又明日会えるじゃん」

「…うん」


ヨシは私の頭を撫でて荷物を手に取ると、真顔になって教室を出る。


トモと真雪ちゃんが付き合い始めた事がショックで帰った…?

真雪ちゃんに振られたショックで学校を休んだ時みたいに。


「ねぇ、やっぱり広瀬くんって福原さんの事が好きなんじゃないの?」

「思った!何か広瀬くんおかしいもん」


クラスの子達が私の気持ちを代弁するようにコソコソ話す。


「あの二人も付き合い始めたんでしょ?広瀬くんと相川くんと福原さんの三角関係?!」

「いや、川野さんも…無いかぁ!福原さんに振られて渋々付き合ってんじゃない?」

「だよねー。何か色々納得ー」


そんなの言われなくても分かってるけど


改めて言われると私だけ仲間外れみたいで、胸が苦しくなる。


時間がなかなか経たない。

やっと六時間目が終わり、私は思った。

ヨシの家に行こう。

自然に想われないなら、少しでも多く傍に居ればいい。

接点が増えれば、ヨシに想われる数値も上がるかもしれない。


掛けていく数字が大きくなる程、掛けられた数値が大きくなるように。


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