あの子と私
私はそれを言えなくて


ただ聞くしか出来なくて


ヨシは言葉を続けた。


「アイツら付き合い始めたじゃん?俺…凄いショックで、まゆの事が頭から離れなくて……アリスの事…考えられない」

「……」

「だから…俺の彼女やめる…?」


カチカチ時計の音だけが聞こえて


頭が真っ白になる


こんなんじゃ

計算なんて出来ない


「だって…まだ付き合い始めたばかりだよ…?」

「でも…俺」

「真雪ちゃんの事ばかり考えててもいい…。お願いだから…別れないで」


ヨシと別れたくない。

真雪ちゃんに取られたくない……。

私はヨシに抱きついて必死になって言った。


「お願い、ヨシ……。別れないで……」

「……」


暫く沈黙が続くと、ヨシは大きく息を吐き出して私の髪を優しく撫でて言った。


「もう少し…付き合ってみようか……。でも又アリスの事…傷付けるかもしれないよ?」


私はヨシに抱き着いた腕に力を入れて答える。


「それでも…いいよ」


傷付いたヨシの傍に居たら、きっと私を見てくれる。

私は真雪ちゃんにはなれないから、それしか出来ない。




そうだよね?







































































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