あの子と私

悲しみの夜

ヨシとボンヤリ音楽を聞いて暫くすると、ヨシの母親がドアをノックして、ドア越しに言う。


「そろそろ帰らないと…親御さんが心配するわよ?」

「…うん」


ヨシは私の身体を離し、優しくキスをして言った。


「行こうか?」

「…うん。明日は?」

「大丈夫だよ。ちゃんと学校に行くから」


私は少し微笑んで頷き、二人で玄関へと向かう。

するとヨシの母親が小走りで来て言った。


「何もお構い出来なくてごめんなさいね。それからケーキ、後でヨシと頂くわ。ありがとう」

「お邪魔しました」


私は頭を下げ玄関を出ると家へと向かう。

ヨシと別れずに済んで良かった……。



最近、勉強が疎かになっているから、頑張らないといけない。

急いで家に帰り玄関を開ける。


「ただいま」


……?


靴があると、いつも出迎える母親の姿が今日は見えない。


「お母さん…?」


中に入り、ソッとリビングを覗くと、電気も付けないでソファーに座る母親の姿があった。


「お母さん、何かあったの?」


母親はビクンとし、早口で答える。


「あ、アリス…帰ってたの?」

「うん」

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