あの子と私
「も、もうそんな時間なのね。ご飯作らなくちゃ…」


母親はそう呟くと立ち上がり、私と目も合わさないでキッチンへと向かう。

取り残された私は、小さく溜息を吐き自分の部屋へと戻る。


私が勉強を疎かにしているからいけないんだ。


でも……そんな時は怒られる事はあっても、今みたいによそよそしい態度なんて取る事は無かったのに。

真雪の顔が浮かぶ。


真雪ちゃんが何か言った…?


私は少しずつ大きくなる不安を掻き消すように、勉強を始める。

大丈夫。


私が勉強さえちゃんとしていれば、お母さんはいつものお母さんに戻るんだ。


ー翌日


朝起きるといつものように支度をすると、真雪と一緒に家を出る。

ヨシは今日ちゃんと学校に来るのだろうか…?

酷く落ち込んでいたヨシの姿を思い出すと、いつもと何も変わらない真雪に聞く。


「真雪ちゃん、トモと付き合い始めたの?」

「あ、うん。アリスちゃんにも話そうと思ったんだけどね、何か照れ臭くて…ごめんね?」


申し訳なさそうに私の顔を覗き込む真雪に頷いて見せると、学校に向かう。


学校に着き、教室に入るとすぐにヨシの姿を探した。


まだ来てない。

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