あの子と私
暫くしてチャイムが鳴り始めた時、教室のドアが開き、ヨシの姿が見えてホッとする。

ヨシは一瞬真雪の席の方に視線を向けると、私の方を向き、作り笑いを浮かべて自分を席に座った。

やっぱり真雪ちゃんの事……。

昨日別れないで済んだけど、ヨシが私を好きになった訳じゃなんだ。


ヨシの傍に出来るだけ居よう。


私が居ない所で二人がくっついてしまわないように。


私は休憩時間になる度、ヨシの所へと行く。


そして全部の授業が終わると、真雪とトモに向かってヨシが言った。


「久々に四人で何処かに行こうよ」


四人で…?

そう思った時、真雪が申し訳なさそうな顔をして言う。


「今日からバイトなんだ。ごめんね」

「まゆ、バイト始めるの?」

「うん。携帯が欲しんだけど、親戚の家にお世話になってるから、携帯代は自分で払わないといけないでしょ?それに…」

「それに?」


そうヨシが聞くと、真雪は少し恥ずかしそうに微笑んで言う。


「少しでいいから…お金入れたくて…」


ヨシは真雪のその言葉を聞いて、凄く優しい目で真雪を見て言う。


「まゆ、偉いよ。俺なんかさぁ」

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