あの子と私
私は手を洗い席に座ると母親に聞く。


「お父さんは?」

「今日は遅くなるみたいなのよ。さぁ、食べましょ」

「うん」


私は箸を手に取りおかずを一口食べる。

このケーキはどうしたんだろう?
ケーキなんて誕生日とかクリスマスくらいしか食べないのに。

真雪ちゃんの誕生日?

私は母親に聞く。


「このケーキ、どうしたの?」


すると真雪が嬉しそうに答えた。


「バイト先の人がね、持って帰ってって言ってくれたの」


その言葉を聞いた瞬間、母親の言葉が頭に浮かぶ。


『アンタが貰って来たケーキなんて食べられる訳ないでしょ?!余計な事しないでちょうだい!!』


私は思わず下を向いたけど、そんな言葉は聞こえなくて、ゆっくりと顔を上げ母親の方を見ると、母親はご飯を食べながら無表情で言った。


「アリスも…食べるでしょ?」

「…うん」


前は真雪ちゃんが作ったご飯を、凄い剣幕で三角コーナーに捨てていたのに


やっぱり何かあった?


その後誰も喋る事はなく、私はご飯を食べると部屋に戻って勉強をする。

何となくある不安を掻き消すように勉強をした。


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