あの子と私
そうに決まってる。


さっき聞いてしまった会話を私は聞いてない。

私は寝ていて、何も聞いてなかったんだ。


すぐにリビングを出ると、さっきの会話を聞いてしまったのがバレる気がして、暫くしてから部屋に戻る。

そしていつも通り勉強を始めるけど、母親と真雪の会話が頭の中をグルグル回った。

もし真雪ちゃんとお母さんが親子だったら、最近のお母さんの態度も納得出来てしまう。


お父さんの部屋で見た手紙……。


やっぱり真雪ちゃんがお母さんに嘘を付いてる。

私は目を強く瞑り耳を塞ぐ。


何も聞いてない。
私が聞いた事を知られてしまったら、何か壊れる気がする。


翌日、真雪はいつもと変わらず、私も平静を装う。


何も聞かなかった


頭の中で唱え、真雪に聞く。


「真雪ちゃん今日バイト休みなんでしょ?」

「うん。そうだアリスちゃん、たまには一緒に出掛けたりしない?」


私はすぐに笑顔で答える。


「今日はヨシと約束があるんだ」

「そっかぁ。じゃ私もトモと遊ぼうかな」

「うん」


真雪のの言葉に少しホッとし、学校に着くと席に座り、ヨシが来るのを待つ。

暫くするとヨシが来て、いつもの様にヨシの席に向かう。


「おはよ」

「うん、おはよーアリス」


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