あの子と私
少しホッとして、授業を終えるとヨシと一緒に家に向かう。

そして家に着くとヨシの部屋に入り、ヨシの隣に座った。


「何か音楽でも聞く?」

「うん」

「アリスはさ、どんな曲が好きなの?」

「…モーツアルトとかヘンデルかな」


私がそう言うとヨシは一瞬止まり、苦笑いをして言う。


「ごめん、アリス。クラシックは無いんだ。適当にかけるね」

「うん」


ヨシはそう言って明るい曲を掛け、私の隣に座る。


ヨシは何も話さなくて、私も何を話したらいいのか分からなくて、時間だけが過ぎて悲しくなる。


ヨシは私と一緒に居て楽しいんだろうか?


ただ一緒に居るだけで私の事、好きになってくれる?


一緒に居ても居なくても、遠くに居るみたいで不安なんだ。

ヨシは暫くボンヤリ何処かを眺めていて、私の視線に気付くと悲しそうな笑顔で言う。


「アリスはさ、俺と居て本当に楽しい?」

「…楽しいよ」

「そっか…」


ヨシは…?
私と一緒に居て笑わないのに


思わず私はヨシに聞いた。


「ヨシは…?私と居て楽しい?」

「…楽しいよ」


嘘だ。


「アリス…?」

「…真雪ちゃんと居る方が楽しそうだよ」

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