あの子と私
「…そんな事ないよ」

「じゃあ何で私と居ると楽しそうじゃないの?どうしたら好きになってくれるの?」


ずっと不安なんだ…。

するとヨシは大きく溜息を吐いて言う。


「そんな風に責められると疲れちゃうよ」

「ごめ……」


泣きそうになって声が出ない。

ヨシはそんな私を見て、頭の上に手を置いて言う。


「ごめん。今日は帰って?もっとアリスの事、色々考えたいから」

「…うん」


これ以上ここに居たら、ヨシに嫌われるようなことを言ってしまうかもしれない。


「帰るね…」


ヨシは私の言葉に黙ったまま右手を挙げ、私は荷物を持って部屋を出る。


そしてカタカタ電車に揺られながら家に帰ると、玄関に真雪の靴があるのを確認し、部屋に入る。

どうすればヨシと上手くいくのか…。

鞄の中から教科書やノートを出し、勉強を始めようとすると、今日返して貰った抜き打ちテストの答案用紙が一緒に出て来た。

そうだ。


すっかり忘れてたけど、今日はこれをお父さんとお母さんに見せるんだ。


そしたらきっと、お母さんも少し前の様に戻るし、お父さんも褒めてくれる。

私は勉強をしながら、両親が帰って来るのを待つ。

< 275 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop