あの子と私
リビングに入る事も出来ず、話が気になってここから離れる事も出来ない。


「何の話しだ?ちゃんと言わないと分からないだろ?」


父親がそう強く言うと、母親は泣き崩れる様に言った。


「アリスの事よ!!アリスは…私の産んだ子供じゃないじゃない!」


お母さんは…何を言ってるの……?


「何バカな事を言ってるんだ?!」

「貴方だって知ってるでしょ?!」

「何をだ?!」

「何をって……アリスと真雪の誕生日…貴方なら知ってるでしょ……?!」

「……」


どういう事……?


身体の力が抜けて


握り締めていた答案用紙が


ヒラリと宙を舞った


ドクンドクン…


胸の音が苦しくなるくらい


大きく鳴る


『アリスは…私の産んだ子供じゃないじゃない!』



嘘だ……。


そんなの


何かの間違いに決まってる


そうじゃなかったら


悪い夢を見ているだけなんだ


目を開けたらお母さんが


『アリス、おはよう』


って


『おはよう』って


言ってくれる


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