あの子と私
何も考える事が出来なくて、暫くそのままでいると、冷たい滴が頬に当たる。


……雨だ


靴を履かないで走った足の裏がズキズキ痛み始め、少し風が吹くと、冬の凍えるような寒さに気付く。

辺りには誰一人居なくて、世界の中で一人ぼっちになったような孤独感に襲われた。


父親も母親も追い掛けてはくれなかった



私が…お母さんの子供じゃないから……?


このままここに居たら死んでしまうかもしれない。


もう


死んでしまった方がいいのかもしれない


そう思った時、真雪の顔が浮かんだ。

今頃…暖かい家で真雪ちゃんとお母さんとお父さんで笑っているかもしれない。


『お母さん』


って……。


こんな所で死ぬ訳にはいかない。

でも、もう家には帰れない。


何処に行けばいい…?


ヨシの所に行くと、ヨシのお母さんにふしだらな子だと思われてしまう……。


正美さん……。


そうだ正美さんの家に行こう。


正美さんならきっと私を受け入れてくれる……、



唇を噛み締めると立ち上がり、ゆっくりと歩き始めた。
























































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