あの子と私
濡れた靴下を脱ぎ、冷たくなった手に息を吹き掛け、すり合わせる。

足音が聞こえる度、正美かと視線を向けた。

気付いたら雨が雪になっていて、一段と寒さを感じる。


そして又強い孤独を感じた。


世界中で私はたった一人なんだって……。


もし正美さんが帰って来て『帰れ』って言われたらどうしよう……。


『迷惑だ』って言われたらどうしよう……。


私にはもう行く所なんてないんだ。


孤独感が更に不安にさせる。


そして膝に顔を埋めてカタカタ震えていると、声が聞こえた。


「誰だ…?」


正美さん……?


私がソッと顔を上げると、正美が目の前に立っていて、驚いた顔をした。


「アリス…?何やってんだ?こんな所で……」


正美の顔を見ると、さっき迄あった不安が吹き飛んで、今迄張り詰めていた糸が切れた様に、涙が溢れ出す。


「……正美さん、私……」


そう言い掛けた時、正美は凄く優しい顔をして目の前にしゃがみ込むと、冷たくなった私の手を握り締めて言った。


「冷てぇな、アリスの手。とりあえず中に入れよ。話は後で聞くからさ」

「……」


私が頷くと、正美はゆっくり私の手を引き、立ち上がると二人で家の中に入る。


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