あの子と私
「…うん」


沈黙になって暫くすると、正美が口を開く。


「…何があったんだ?」

「……」

「あ、別にアリスが話したくなかったら、話さなくていいんだ。話したくなったらいつでも聞くしさ」


正美はそう言って優しく微笑み、私は一呼吸置くと口を開く。

そして今日あった事、家を飛び出した事をポツリポツリと話すと、正美は暫く黙り一言言う。


「辛かったな」

「……」


胸が熱くなって、何かが込み上げて来て涙が溢れた。


「…いっぱい泣けよ。アタシが居るからさ」


少し照れ臭そうに言う正美の言葉に、胸がいっぱいになって

少しだけ…少しだけ声を上げて泣く

すると又、正美はマグカップにホットミルクを入れて、私の前に置いて言った。


「それ飲んで落ち着いたら、家に電話しろよ」

「……」


家に電話……?

私はもうあの家には帰れない。


「そんな顔してもダメだ。親が心配するだろ?」


心配する…?

追い掛けてもくれなかったのに…?

黙り込む私に正美は優しい声で聞いた。


「アリスはこれからどうしたいんだ?」

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