あの子と私
「何を言ってるんだ?!」

「私は帰らないから!」


自分でもビックリするような声が出て、涙が溢れた。

するとずっと隣で聞いていた正美が携帯を取り、父親と話し始める。


「もしもし。そういう事だからさ、家でアリスを預かるよ。……住所?言えない。……は?金なんかいらねぇよ!!アリスの前に二度と現れんな糞じじい!!!」


正美はそう声を荒げて携帯を切り、私に言った。


「アリス!塩だ!塩持って来いっ!!」


息を切らしてる正美を見て、ポカンとしていると正美は我に返り気まずそうな顔をする。


「わりぃ、アリス……。言い過ぎた」

「……」


私が首を横に振ると、正美は凄く優しい目をして言った。


「よく言ったな」

「……」

「今日はもう疲れただろ?布団を敷いてやるから、先に休みな」


私は頷き正美と一緒に部屋に行くと、布団を2敷敷いて私は冷たい布団に潜り込む。


「風呂はいってくっからさ、アリスは遠慮しないで先に寝てな」

「…うん」


正美は着替えを用意し、部屋を出ようとする。


「…正美さん」

「ん?」

「……ありがとう」

「…あぁ」


正美は照れ臭そうに頷くと浴室に向かった。

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