あの子と私
何処に行くんだろ?

もしかしたら、カズとタカに騙されて、怖い所に連れて行かれるかもしれない。

正美の家に向かう時より、速く走ってる……?


もしかしたら、死んでしまうかもしれない。


でもいい。


このまま死んでしまってもいい。


私は大きな声でタカに言った。


「もっとー!」

「ああー?」

「もっと速くー!!」

「ちゃんと捕まれよー!!」


スピードが上がる。


もしぶつかったら死んでしまうだろう


タカを持つ手に力が入る


ドキドキした



もっと…もっと速く……。


どれくらい走ったんだろう?


タカはグングンスピードを上げて走り続け、暫くするとバイクは止まった。


「着いたぞ」


タカの声を聞き、バイクを降りてヘルメットを外すと、目の前に海が広がっていた。


「冬の海はやっぱ寒いな。大丈夫か?アリス」

「うん」

「ちょっと暖まろうぜ?そこのレストランで」

「あー、俺腹減ってたんだ」


正美とカズが歩き出し、私とタカはその後を歩く。

タカは無口で、黙ったままレストランに入るとメニューを見て注文をする。


「アリスは?」

「オムライス」

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