あの子と私
出来る訳ない。

暫く黙るとタカは海を見ながら言う。


「いつでも行って来いよ。協力してやるから」

「……」


タカは又黙って、波の音だけが聞こえる。

波の音は昨日あった出来事を忘れてしまいそうなくらい、気持ちを穏やかにしてくれた。


「わりぃ、アリス。寒かっただろ?」


振り返ると正美が小さな紙袋を振り回しながら、笑っていた。


「これ、アリスにアタシからプレゼント。開けてみな」


そう言って紙袋を手渡され、中の物を取り出す。

携帯電話……?

ピンクの可愛い、携帯電話だ。


「これ……」

「アリス持ってねぇだろ?アタシの番号はもう登録してあるよ。料金はアタシが払ってやるから心配するな」


正美はそう言って照れ臭そうに笑う。

するとタカが私の携帯を取って少し触ると、私に渡す。


「使い方は家に帰って説明書でも呼んで勉強しろ。日も暮れて来たし、花火でもしようぜ」

「えー、マジですんの?さみーから早く帰ろうぜ?」

「何じじ臭い事言ってんだよ。早くするぞ」


4人で笑いながら、正美が持って来た花火に火を付ける。


「風が強くてなかなか付かねぇし」


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