あの子と私
皆で一つの花火を囲んで、風が当たらないようにして火を付ける。


「よし、付いた!……あれ?」


花火に付いた火が一瞬で消える。

するとカズが笑いながら言った。


「この花火さぁ、いつの花火だよ?」

「ガキの頃に買って貰ったやつだからさぁ、10年位前しゃね?」

「はー?絶対湿気てるって」


カズは大笑いし、正美は少し顔を赤くして言う。


「うるせーな!どれか付くかもしんねぇだろ?全部付けてみようぜ?ほら、アタシが分けてやっから皆で持てよ。ロシアンルーレットだ!花火が付いた奴は…いい事がある!!」

「いいだろ!!全部で21本あるからさ、5本ずつと…残りの1本はアリスな!」


皆は5本、私は6本の花火を持って、一人1本ずつ順番に花火を火に付けて行く。

二巡目が終わっても火は付かなくて、震えながらカズが言った。


「付かなくねー?もう又にして帰ろうぜ?」

「まだ終わってねぇだろ?ほら、次はアリスだ」


正美にライターを渡され、花火に火を付ける。



すると花火はパチパチ音を立てて、奇麗な花を咲かせた。



四人でその花火を少し見ると、正美が大きな声で言う。

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