あの子と私

目覚め

ー翌日

朝起きると部屋に正美が居ない。


正美さん……？


部屋を出るとキッチンの方から食べ物の匂いがして、キッチンに向かうと正美が料理をしていた。


「アリス、起きたか？今丁度出来たんだ。冷めない内に一緒に食べようぜ？」


正美は振り返ってそう言うと、テーブルの上に目玉焼きと味噌汁とご飯を置く。


「大した物は無いんだけどさ」


正美は照れ臭そうに笑い、私は朝御飯が置かれた所に座った。


「いただきます」

「ああ」


いつも作ってくれた母親の料理を思い出す。

今頃お母さんと真雪は食卓で仲良く朝ご飯を食べているかもしれない。

私の場所だったのに……。

真雪に対する怒りが沸いてくる。


「アリス？不味かったか…？」


不安そうな顔で聞く正美に慌てて答えた。


「美味しい。正美さん…ありがとう」

「良かった。昼はさ、何か買って食ってくれな。少ないけど…これ」


正美はそう言ってポケットの中から小銭を取り出し、テーブルの上に置いた。

正美さんのお母さん、まだ会った事無いけど…。


「正美さんのお母さん、もう仕事？」