あの子と私
すると正美は表情を少し暗くして答える。


「…ああ。仕事が忙しくて家には大体帰って来ないんだ。まぁ、一人で居るのも気楽でいいし、アリスも居るしな」

「うん」

「飯食ったら着替えようぜ?今日は学校に行くだろ?」

「…うん」


片付け等を済ませ、正美の部屋に戻ると制服に着替える。

スカートのウエストの部分を折り曲げ、膝より少し短めの丈にする。


「アリス可愛いじゃん」


私は親に捨てられたんだ。

だからもう帰らないし、いい子になんかならない。


変わるんだ。



「正美さん、お化粧してくれる?」


私は走言って真雪から貰った化粧ポーチを正美に手渡す。

真雪から貰った物なんて捨ててしまいたいけど、捨ててしまったら負ける気がした。

捨ててしまうより、使って平気な顔をしていたいんだ。

私は傷付いてなんかないし、真雪の事なんて気にしてない。

笑って使ってやるんだ。

けしょうポーチを受け取った正美は、目をキラキラさせて言った。


「すげーじゃん、アリス。全部揃ってるし、此処の奴、結構高いんだよな。やりながら教えてやるからこっちに来いよ」

「うん」


私は正美の前にちょこんと座る。

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