あの子と私
「いいじゃん。ファンでも白い奴だしさ、…アイシャドウも紫じゃん!…この赤い口紅もいいな」


正美はそう言って一つづつ出しながら塗って行く。

私は正美の言葉を聞きながら、化粧品の名前と塗る場所を覚えた。


「アタシも化粧すっからさ、アリスは学校に行くか?」


時計はまだ7時30分を指している。


「一緒に行く」

「そっか。じゃあ急ぐな」


そう言って正美は急いで化粧をし、いつもの顔に戻ると立ち上がり、二人で玄関へ向かう。


「アリスさ…もし帰りたくなったら、遠慮しないで言えよ?」


正美は少し寂しそうな顔をしていて、私はすぐに言った。


「そんな事…」

「いつ何があるか分かんねーし、アタシの事は気にしないでアリスの好きにすればいい」

「……」


駅に着き正美と別れると学校に向かう。

そして学校に着き教室のドアを開けた瞬間、クラスの子達のどよめきが聞こえた。


私は聞こえない振りをして席に座る。


「ちょー、川野さんどうなってんの?化粧濃いし、スカート超短くない?」

「しかも何かヤンキーっぽいし」

「しーっ!」


ヨシはまだ来てなくて、チャイムが鳴りヨシより先に担任が入って来た。


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