あの子と私
バカみたい


「私はもう…家には帰らない」


私がそう言うと父親は私の腕を強く握り、引っ張りながら言う。


「いい加減にするんだ!帰るぞ!!」

「お父さんは私の心配なんてしてないじゃない!」

「…何を言ってるんだ」


お父さんが心配してくれるなら、こんな事うぐ止めるけど、私より世間体が大事なんだ。


絶対に帰らない…。


「もう帰って。帰ってくれないなら…リビングで話してた事全部近所の人に喋るから」


私がそう言うと、父親は顔色を青くして言った。


「…分かった」


やっぱり……。

私より世間体なんだ。

そして父親は言葉を続けた。


「アリスの好きにすればいい。近所には留学したと言っておく。じゃあな」


父親はそう言うと校長室から出て行く。


父親の背中が


他人に見える……。


呆然としていると、荻野が入って来て言った。


「川野さん、話は終わった?終わったら教室に戻りなさい」

「……はい」


先生も何も聞かない。

私は小さく頭を下げて校長室を出ると、教室に向かう。


ヨシはもう来てるだろうか?

< 307 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop