あの子と私
その時、斜め後ろから声が聞こえた。


「アリスちゃん、大丈夫?」


振り返ると心配そうな顔をしている真雪の姿があった。

私の部屋に勝手に入って、荷物迄纏めて私の事を追い出した癖に……!

私は真雪に対する苛立ちを必死に隠す。

ヨシの目の前でそれを出したら、ヨシに嫌われてしまうかもしれない。

私は引きつりながらも必死に笑顔を作って真雪に言った。


「大丈夫だよ。この化粧も真雪ちゃんに貰った奴でやったんだ」


真雪は一瞬顔を歪ませて言う。


「アリスちゃん使ってくれたんだ?ありがとう」


私は造り笑顔をする。

そうだ……。

ポケットの中から正美から貰ったピンクの携帯電話を取り出し、ヨシに見せて言う。


「私携帯持ったんだ。ヨシのアドレスと番号を教えて」

「あ、うん…。赤外線で送るよ」


ヨシは携帯を取り出す。


「どうやってやるの?」


私はそう言って携帯を持ってヨシに近付いた。


「あっ、私席に戻るね」

「うん」


真雪は席に戻り、ヨシを見ると恋しそうに真雪を見ている。


「……真雪ちゃんが居た方が良かった?」

「いや…そんな事無いよ。アリス、番号交換しよ?」

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