あの子と私
「アリス、そろそろ帰る?」


時計を見るとまだ16時で、不安が更に大きくなって思わずヨシに言った。


「私と一緒に居てもつまらない?どうしたらちゃんと好きになってくれる?」

「…だから、少しずつ好きになれるように…」

「だって何も変わらないから」


ただ一緒に居るだけで、ヨシの気持ちは変わってるようには見えないんだ。

不安で泣きそうになる。

そんな私を見てヨシは言った。


「アリス…。重いんだ」

「……」

「ちょっと距離を置こう」

「……」


何も言えないまま、正美の家に帰ると部屋着に着替えて横になる。

ヨシに何か言っても言わなくても、嫌われる気がするんだ。

私は携帯を取り出し、メールを送る。


To.ヨシ
今日はごめんね


そして携帯を手に持ったまま胸の上に置くと、何度も返事を確認する。

何度見ても返事は無い……。

落ち着かないくて携帯の電話帳を覗いてみる。


タカ……?


正美さんと海に行った時の短髪の男だ。

番号…あの時勝手に登録された……?


そう思った時、ふとタカが言った言葉を思い出す。


『いつでも言って来いよ。協力してやるから』


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