あの子と私
どうしよう……。

正美さんはまだバイト中のはずだから帰って来ない。


メールなんて送らなければ良かった……。


私は部屋の隅に行き、小さくなる。


そして少しすると外からバイクの音が聞こえ、静かになった。


どうしよう


何かされたらどうしよう……。


メールで少し聞きたかっただけなのに…。

そう思った時、ドアを叩く音が聞こえる。

私はジッと息を潜めた。


このまま帰ってくれたらいいのに


そんな思いも届かず、玄関が開く音が聞こえた。


「アリス、居るんだろ?入るぞ」

「……」


足音はどんどん近付いて来て、ドアが開くとあの時の短髪の男が鋭い目でこっちを見る。


「そんな隅で何やってんだよ?」

「……」


タカはゆっくり歩き私の前迄来ると、しゃがみ込んで言った。


「協力するって言っただろ?」


私は黙ったままコクリと頷く。


「じゃあさ、ちょっと携帯貸して?」


携帯……?

私が携帯を差し出すと、タカは何か操作をしながら私に聞く。


「お前の男、ヨシって奴?」

「…うん」

「ふーん。分かった」


そして又携帯を触ると、私に渡して言った。

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