あの子と私
暫くするとトイレの外からヨシの声が聞こえた。


「アリス、そろそろ乾かさないと。後、一応ビニールシートを買って来たから」

「うん…」


外に出て殆ど制服が乾いた時、ヨシがタクシーを捕まえ、念のためタクシーにビニールシートを敷いて、三人でタクシーに乗り込む。

何だか疲れた……。

あんなにはしゃいだのは、どれくらい振りなんだろう?

髪の毛を触ると、まだ少しベタついている。


「家、時間大丈夫か?」


トモにそう聞かれ、私は黙ってコクリと頷く。

もう大分暗くなってる。

三人は少し無口になってタクシーは暫く走り、家の前に着くと、ヨシとトモにお礼を言って家に入った。

…お母さんに怒られる

早く家に入って、お風呂に入らなきゃ。


「ただいま」


そう小さな声で呟くと、急いで浴室に向かう。


「アリス、帰ったの?」


母親の声にピクリとなって、立ち止り固まった。


「こんなに遅くまで、電話もしないで何やってたの?あら、何?その格好は!!」


母親のキツイ口調にビクビクしながら、私は答える。


「友達とちょっと……。ごめんなさい……」

「ちょっとって…制服はシワシワだし、そんな格好で歩いてたの?!」


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