あの子と私
「ありがとう、アリス」


私は黙って頷く。

ヨシが怯えているお陰で、真雪みたいに上手く話せなくても、私の所に来てくれるんだ。

もっともっとヨシが怯えて、私から離れられなくなればいい。

私と繋がっているタカがやっている事さえバレない限り、ヨシは私から離れないだろう。

帰ったらタカにメールしよう。


暫くすると部屋をノックする音と、ヨシの母親の声が聞こえた。


「ヨシ、ケーキ買って来たから入るわよ」

「うん」


そして母親が部屋に入ると私に言う。


「いらっしゃい。ゆっくりして行ってね」

「ありがとうございます」


ヨシの母親は笑顔で頷き、部屋から出て行く。


「美味しそう。ヨシのお母さん帰って来たみたいだから、これ食べたら帰るね」


早く帰ってタカにメールをしよう。


「そうだね。アリには勉強があるのにごめんね。今日はアリスが居て本当に良かったよ。一人だったらさ……」

「…ううん。暫く一緒に帰って大丈夫だから」

「うん」


私は急いでケーキを食べると、ヨシの家を出て、正美の家に着くとタカにメールを送る。


To.タカ
カラスはタカがやった?


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