あの子と私
「……本当だ。良かったぁ…。でも…誰かが部屋に入ったって事だよね?」

「……うん」

「俺……誰かに恨まれてるのかな…?学校に居ると皆がメールを送って来てる気がするんだ……」


ヨシは怯えた目をしていて、ヨシの言葉を黙って聞いた後に言った。


「ヨシ、手を洗って来ていい?」

「…そうだよね。手、洗わないとね…」

「うん。これ、どうしたらいい?」


そう言ってヨシに猫のぬいぐるみを見せる。


「…ナイフを抜いて、外に捨てておいてくれる…?家の中にあるのは気持ち悪いんだ……」

「分かった」

「玄関入って突き当りの部屋で手を洗えるから」


私はドアノブを汚さないようにドアを開けて行き、外にそれを捨てると中に入り手を洗う。

手を洗うと透明な水が赤い液体に染まっていく。

綺麗だ……。

暫くボンヤリと水が流れていくのを眺めた。


「アリス。早く来なよー」


私を呼ぶヨシの声にハッとすると、蛇口をひねり水を止める。

近くにあったタオルで手を拭くと急いでヨシの部屋に戻った。


「ぬいぐるみ、捨てたの?」

「うん。すぐそこに捨てたんだけど、もっと離れた所が良かった?」


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