あの子と私
翌日、学校に行くとヨシはもう来ていて、私はすぐに席に荷物を置くと、ヨシの所に行って言った。


「おはよう。ヨシ」

「…おはよう」


ヨシは目の下にクマが出来ていて、ゲッソリしている。


「今日は早いね」

「…昨日一睡も出来なかったんだ…。家のカーテンも開けられないし、早く来たんだけど…」


ヨシがそう言った時、じゃあっていた田中と星野がヨシにぶつかった。

するとヨシは鋭い目をして二人に言う。


「わざとだよね?」


二人は不思議そうな顔をすると、笑って言った。


「あ、ごめん。当たった?」

「何とぼけてるんだよ?わざとだよね?!」


教室にヨシの大きな声が響いて、みんなが注目する。

不穏な空気の中、田中と星野は不満そうな顔をして言った。


「何?こいつ……。あっち行こうぜ」

「ああ」


二人はヨシの席から離れた所に行って、又じゃれ合う。

教室の空気が少しずついつもの空気に戻って行くと、ヨシは私に言った。


「あのメールもアイツらかもしれない……」

「…うん」


もっとヨシが疑心暗鬼になって、クラスで一人になってしまえばいい。


「チャイム鳴るから席に戻るね」

「…うん」


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